2010.4.21 第279回(第5条)経営者モーニングセミナー
本日の講話者は、
山成商事(株)代表取締役
石川県倫理法人会副会長 七尾市倫理法人会相談役
山口 成俊 様
テーマ:『能登の田舎もん・金沢奮闘記』
【会長挨拶】 西川 寛 会長
先日、後継者倫理塾にオブザーバーとして参加しました。
汗をかいているような、凛とした雰囲気でした。事業継承は後継者にとって、不安や違和感、ある種の気持ちの悪さと向き合うことになります。
私自身が後継なので分かります。同様の悩みを抱く仲間と一緒にやって学ぶことは良いことです。
彼らの新たな出発に、皆さんもエールを送ってほしいと思います。
【会員スピーチ】 新保 均 氏
2月に富士研究所に行ってまいりまして、その際に万人幸福の栞の読み方の一つを教わり、良いなと思ったので紹介します。
自分の名前で読むということです。
例えば「運命を切り開くは己である。境遇をつくつも亦自分である。己が一切である。努力がすべてである。やれば出来る。」という一節の「己」や「自分」の箇所を、自分の名前に置き換えます。
自らやることがいかに重要かを感じます。
【講和者紹介】 ナナオPCネット代表 宍戸 紀文 様
七尾市倫理法人会の初代会長であり、その礎を築かれました。
頭の回転は速いし、ユーモアがあって大変面白い方です。
【講話】 山成商事株式会社 代表取締役社長 山口 成俊 様
東日本大震災について思うのは、我々は心を入れ替えなければならないのではないか、ということです。
正直さ、和の精神、勤勉さ。もともと日本人が持っていた道徳的な価値を失ってきてしまったひずみが生じている今の社会に対して、もう一度ゼロから出発しなさい、という天のメッセージかもしれません。被災者には出来る限りの支援をしなければなりません。
昭和38年、父が七尾でスーパーマーケットを開業しました。
それまでは魚の卸をしておりましたが、商売を安定化させようとスーパーを始めました。
アメリカから日本にスーパーが初めてやってきたのが昭和30年ですから、それからたった八年というのは魚屋のオヤジにしては早い方だったと思います。
父は52歳で亡くなり、私は大学を卒業した翌年24歳の若さで会社を継ぎました。
だから後継者でありながらも半分は創業者です。
現在のどんたくは、能登で十店舗、金沢に一店舗あります。6月には新しく西金沢に一店舗できます。
ずっと能登でやっていこうと考えておりましたが、金沢進出を決断しました。
能登は少子化・高齢化・過疎化が進み、今後10年で二、三割も人口が減ります。
スーパーにとって、胃袋が減ることはパイの縮小を意味します。七尾は6万人、金沢は46万人。
商圏を考えれば、金沢に出るほかないと考えるに至りました。
スーパーは2000坪のまとまった敷地が必要ですが、都市部での用地確保は難しかった。
また能登と違ってライバルも大勢です。というのも敵はスーパーだけではないから。
コンビニ、昔ながらの八百屋、ホームセンター、シメノさん、ネット。
中でも最大のライバルはレストラン。胃袋を満たすものは皆ライバルなんです。
都市のやり方ではスピードが大事で、会社の中ではスピード、スピードとしょっちゅう言っています。
また金沢の出店によって、事業の戦線は150kmに間延びすることになりました。
すると目が届きにくくなる。
危うい状態です。だからといって本部からの管理を厳しくする、という対処も時代錯誤です。
ここは現場の創意工夫を活かす方針を採りました。
ニーズではなくウォンツをいかに提供できるか。
皆さん、車や時計は持っているので、今更要らないと考えますよね。
でもハイブリッドなら、あるいはクラフトマンシップなら欲しいかもしれない。
「それなら欲しいな」と思う、これがウォンツです。ニーズを売るなら価格に訴えるしかないですが、ウォンツであれば値段は関係ない。
安いにこしたことはありませんが、「どこよりも安く」を目指して価格競争でディスカウンターに勝つのは無理があり、どんたくの規模では中途半端です。
ましてそれは私の経営スタイルでもありません。
とんでもなく安い、ではなく、とんでもなく楽しいを。
ディズニーランドのような、そんな売り場をつくろうと思います。
光、音、におい、店の中でいかに本物感、リアルを演出できるかを考えています。
スーパーでは本当にありがちですが、
従業員は、ロス、日付、欠品、品揃え、帳面、発注…つまり管理ばかりに頭がいっぱいになってしまい、お客様を見る余裕がなくなります。
それは真面目に仕事に取り組んだ結果であっても、お客様を悲しませ、がっかりさせます。
前垂れ精神をもたないといけない。
私たちの仕事はただ売り場をつくることではありません。
私たちの本当の仕事とは、お客様を楽しませることであり、喜ばせることです。
セミナー入場無料!
セミナー終了後、参加者交流の場として朝食を御用意しております。
朝食500円(バイキング形式) ドリンクのみ200円
お誘いの上、たくさんの参加お待ちしております。
掲載・文:千明公司 写真:赤土俊介